ハヤカワ文庫の方は、「自称筋金入りのSF読者」を自称しながら、このところSFを読んでいない、というか本を読んでいなかったので、半ば義務感にかられての選択である。(爆)
400ページほどの長編であり、過大な期待はしていない。というのも、およそ1980年代以降のSF長編には、SFのアイデアよりも「物語」に重きを置いたものが多く、それゆえ大部の作品になりがちなのだな。ラリイ・ニーヴンやジェイムズ.P.ホーガンも、後期・末期は「物語」が興味の中心になってしまう作品しか書いていない。
しかしまあ、ニーヴンやホーガンで「物語」だとガッカリだが、先入観を持たずに読めば面白い「SFの物語」は多い。「ラグランジュ・ミッション」も、買った当日少し読んだ範囲では、月から地球への輸送機(無人貨物船)をこれまた無人の宇宙機を遠隔操作して襲う「宇宙海賊」と、それを阻止する立場のアメリカ軌道軍、こっちも無人・遠隔操作の「制宙戦闘機」の戦いが描かれていて、かなり期待できそうだった。実体のある衛星や宇宙機が戦闘するアクション要素と、それらを制御するサイバー要素のバランスがいい感じである。仕事の疲れが重いので、わたいとしては非常に遅いスピードでしか読めないだろうが...
ブルーバックスの方の「超弦理論」というのは、もしかすると元ORGerは勘違いするかもしれんが、楽器とは関係ない。一般向けの解説書では「超ひも理論」と呼ばれることが多い理論(仮説)、スーパーストリング理論のことで、専門の学者はこの仮説のキモである振動をイメージしやすい「超弦理論」という語を使うのだそうな。