科学的には「エネルギー」は「総量は不変」です。したがって「なくなる」ことはありません。
まず「枯渇年数」から。これは「埋蔵量/毎年使う量」で計算されます。ところがこの「枯渇年数」を「あと○年で石油がなくなる」などと言うのは「間違い」だそうです。「埋蔵量」は、採掘技術や輸送コストおよび商品の値段によって変動します。シェールガスやシェールオイルが良い例で、新しくて安い採掘技術の導入でペイするようになると「埋蔵量」がどんと増えましたが、原油が安くなると消費量が減って「枯渇年数はぐんと延びました。つまり「枯渇」は著者にとってはそれほど重要な問題ではありません。
著者が重視するのは「エネルギーをいかに届けるか」です。かつての「石油ショック」は「原油が届かなくなるかもしれない」というパニックによって日本で発生しました。これも「エネルギー問題」が「枯渇」とは無関係である実証例だそうです。
著者は「石油がなくなれば新しいエネルギーに代替すれば良い」とか「エコ」という言葉で思考停止になる態度を警戒しています。前者は問題を生み出した社会に対して全くノータッチで問題を先送りするだけだし、後者は非科学的な態度だから、だそうです。
エネルギー自体は安価です(安価でないと燃やしてしまうなんてことはできません)。では電気代やガス代の大部分は何かといえば、ロジスティックス(またはサプライチェーン)(生産、輸送、消費、廃棄までの一連の流れ)の構築と維持のためのコストです。
ところで、私は自分が使う「エネルギーの種類」にはそれほどのこだわりはありません。私の役に立ってくれればとりあえず何でも良いです。ただ、支払いは少ない方が良いからコストは低い方が良い。